インバウンド補助金とは?対象事業から申請時のポイントまで!

インバウンド補助金の概要、対象事業と申請時のポイント 補助金
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この記事では、インバウンド補助金について解説します。令和5年度の情報を基に、補助金の概要からおすすめの代行業者まで解説しますので、インバウンド事業向け補助金について知りたいとお考えの方は参考にしてください。

インバウンド補助金

インバウンド補助金の概要

インバウンド補助金は、外国からの旅行者が観光するための環境を整えてインバウンド(訪日外国人の消費)需要を拡大させるために設けられた制度です。補助金は返済義務がないため事業実施にかかるコストを削減することができますが、受給するための要件があります。そのため、申請にあたっては事前準備をしっかりと行いましょう。

インバウンド補助金の種類

次に、インバウンド補助金として具体的にどのようなものがあるのかをみていきましょう。

補助金名称 概要
インバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた観光コンテンツ造成支援事業 本格的な再開が見込まれるインバウンドの地方誘客や観光消費の拡大を促進するため、
観光事業者が連携してインバウンド向けに地域に根差した観光資源を磨き上げる取組を支援
インバウンド対応力強化支援補助金 宿泊施設、飲食店、免税店、体験型コンテンツ提供施設等が、
訪都外国人旅行者のニーズに対応した利便性や快適性を
向上させる目的で新たに実施する受入対応強化の取組を支援
インバウンド受入環境整備高度化事業 公共交通機関の駅等から個々の観光スポットに至るまでの散策エリアにおける「まちあるき」や
広域的な周遊に係る環境整備を一体的に進める事業及び訪日外国人旅行者の来訪が特に多い
又はその見込みがある観光拠点施設における拠点機能の強化を図る事業を支援
地域のコンテンツの連携促進(ロングストーリー造成)事業 地域にあるコンテンツをバラバラに体験してもらうのではなく、
旅行者目線で旅全体を通じて、一貫したストーリーの下で有機的につながったコンテンツを体験してもらうことが効果的であり、
本事業では、このようなストーリーの造成等を行う者に対しての支援
放送コンテンツによる地域情報発信力強化事業 コンテンツを通じて自然、文化、地場産品・農産品等の日本各地の魅力を海外に発信し、
地域からの情報発信を強化することにより我が国に対する関心を高めて海外から各地域に需要を呼び込み、
インバウンドやアウトバウンドの好循環を創出することで地域経済の活性化を促進することを目的とし、実施するもの
令和5年度文化財多言語解説整備事業 訪日外国人旅行者数の増加及び訪日外国人旅行者が地域を訪れた際の地域での体験滞在の満足度を向上させるため、
文化財に対して先進的・高次元な多言語解説を整備する事業を、観光施策と連携させつつ実施する事業です。

インバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた観光コンテンツ造成支援事業

この補助金は、本格的な再開が見込まれるインバウンドの地方誘客や観光消費の拡大を促進するための補助金です。「一般型」「インバウンド販売モデル構築型」「高付加価値コンテンツ型」の3つの類型があります。

類型①一般型 類型②
インバウンド
販売モデル
類型③
高付加価値
コンテンツ型
対象者 「インバウンド販売モデル」「高付加価値コンテンツ」以外の事業 過去観光庁事業に採択された旅行商品について、本事業を通してインバウンド向けのコンテンツ改善と合わせて、販路基盤整備などを行う事業。 期間限定、特別な体験などの高付加価値コンテンツを創出し、販売することを前提にした取組
補助額・補助率 補助率:400万円まで定額(10/10)。400万円を超える部分については1/2補助額の上限:1,250万円
申請要件 観光事業者が連携して地域に根差した、ツアー、アクティビティ、体験、イベントなどのコンテンツの磨き上げを図る取り組みであること。等 販売モデルを構築を実施する旅行商品に対する、インバウンド受入のための多言語化を実施すること。等 インバウンド向けの取組であること。
これまでに一度も実施されたことがないなど、新規制が高く特別なものであること。等

参考:インバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた観光コンテンツ造成支援事業

対象者

類型①一般型:
「インバウンド販売モデル構築型」「高付加価値コンテンツ型」以外の事業

類型②インバウンド販売モデル構築型:
過去観光庁事業に採択された旅行商品について、本事業を通してインバウンド向けのコンテンツ改善とあわせて、販路基盤整備等を行う事業

類型③高付加価値コンテンツ型:
期間限定、特別な体験等の高付加価値コンテンツを創出し、販売する事業

補助率・補助額(①②③共通)

  • 補助率:400万円まで定額(10/10)。400万円を超える部分については1/2
  • 補助額:上限1,250万円

申請要件

類型①一般型:
観光事業者が連携して地域に 根差した、ツアー、アクティビティ、体験、イベント等のコンテンツの磨き上げを図る取組であること。等

類型②インバウンド販売モデル構築型:
販売モデル構築を実施する旅行商品に対する、インバウンド受入の為の他言語化を実施すること。等

類型③高付加価値コンテンツ型:
インバウンド向けの取組であること。
これまでに一度も実施されたことがないものなど、新規性が高く特別なものであること。等

補助範囲

  1. 観光資源を活用したコンテンツの造成に係る経費
  2. 備品の購入・設備の導入に係る経費
  3. 販路基盤整備・プロモーションに係る経費

の補助が受けられます。

インバウンド対応力強化支援補助金

この補助金は、東京都内の宿泊施設、飲食店、免税店、体験型コンテンツ提供施設等が、訪都外国人旅行者のニーズに対応した利便性や快適性を向上させる目的で新たに実施する受入対応強化の取組を支援する補助制度です。 
参考:インバウンド対応力強化支援補助金/TCVB 公益財団法人 東京観光財団

対象者

  1. 都内において旅館業法の許可を受けて「旅館・ホテル営業」「簡易宿所営業」を行う施設
  2. 都内の飲食店、免税店(中小企業者のみ)
  3. 都内の体験型コンテンツ提供施設等(中小企業者のみ)
  4. 都内において観光周遊及び空港アクセス等の事業を行う観光バス事業者
  5. 外国人旅行者の受入対応に取り組む中小企業団体等・観光関連事業者グループ

補助額・補助率

  • 補助対象経費の2分の1以内

申請要件

  1. 中小企業等協同組合法(昭和24年法律第181号)に規定する中小企業等協同組合で、東京都内に主たる事業所を有していること。
  2.  中小企業団体の組織に関する法律(昭和32年法律第185号)第3条第1項に規定する協業組合、商工組合及び商工組合連合会で、東京都内に主たる事業所を有していること。  
  3. 生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律(昭和32年法律第164号)に規定する生活衛生同業組合で、東京都内に主たる事業所を有し、かつ、その構成員の3分の2以上が、中小企業者であること。 等

補助範囲

インバウンド対応力強化のために新たに実施する事業

  1. 多言語対応(施設等の案内表示・室内又は店内設備の利用案内・ホームページ・パンフレット等の多言語化、多言語対応タブレットの導入等)
  2. 公衆無線LANの設置
  3. クレジットカードや電子マネー等の決済機器の導入 等

参考:インバウンド対応力強化支援補助金交付要綱

インバウンド受入環境整備高度化事業

主要な観光地における訪日外国人旅行者の周遊の促進及び消費の拡大を図るため、公共交通機関の駅等から個々の観光スポットに至るまでの散策エリアにおける「まちあるき」や広域的な周遊に係る環境整備を一体的に進めるための事業です。

対象者

高度化計画に記載されたインバウンド受入環境整備高度化事業を実施する者

補助額・補助率

  • 補助対象経費の2分の1以内
    ※ ただし、拠点機能強化事業のみを実施する場合は補助対象経費の3分の1以内

申請要件

訪日外国人旅行者の来訪が特に多い、又はその見込みがある市区町村として観光庁が指定する地域であること。

補助範囲

インバウンド受入環境整備高度化事業の補助範囲

①面的整備事業
A.賑わい環境の創出
B.新たなニーズへの対応・新技術の活用
C.ストレスフリー・快適な旅行環境の整備
D.ユニバーサル対応
E.拠点機能の整備・改良

 ②拠点機能強化事業
A.新たなニーズへの対応・新技術の活用
B.ストレスフリー・快適な旅行環境の整備
C.ユニバーサル対応
D.拠点機能の整備・改良 

参考:インバウンド受入環境整備高度化事業
参考:観光庁 令和4年度 訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業費補助金

地域のコンテンツの連携促進(ロングストーリー造成)事業 (ロングストーリーによる地域のコンテンツの連携促進に向けた実証調査)

対象者

一週間以上滞在してくれるような訪日外国人に対して、さまざまなコンテンツを連続してストーリーとして体験してもらうことを事業として取り組んでいる事業者

補助額・補助率

  • 1件あたり2,000万円が上限

申請要件

  1. コンテンツ事業者、地方公共団体、DMO、飲食事業者、宿泊事業者、交通事業者、旅行会社、漁業、農業、地場産業等など、複数の団体から構成されるプロジェクトチームであること。
  2.  プロジェクトチーム全体を統括する代表者(以下、「代表者」とする。)を配置すること。 

補助範囲

  1. ロングストーリーツアーの造成
  2. ロングストーリーツアーの販売に係る経費
  3. 情報発信のための素材やツールの作成
  4. 造成したロングストーリーツアーの効果の検証に必要となる経費(FAMツアー、アンケート等の実施) 

参考:「ロングストーリーによる地域のコンテンツの連携促進に向けた実証調査」 公募要領

放送コンテンツによる地域情報発信力強化事業

放送コンテンツによる地域情報発信力強化事業

放送コンテンツによる地域情報発信力強化事業では、コンテンツを通じて地域の文化・農産物などの情報を海外に向けて発信する事業者を支援し、それによってインバウンド観光を盛り上げるための事業です。自社のWebサイトやYouTubeなどのSNSを通じて発信活動をしていきたい企業におすすめです。

対象者

民間事業者等(個人での申請は不可)

採択予定件数 

1件

補助額・補助率

  • 補助率:補助対象経費の2分の1以下
  • 補助額:最大 4,000 万円

申請要件

  1. 日本に拠点を有している法人(個人の応募は不可)であること。
  2. 事業を的確に遂行する組織、人員等を有していること。
  3. 事業を円滑に遂行するために必要な経営基盤を有し、かつ、資金等について十分な管理能力を有していること。
  4. 事業に必要な海外の情報収集を行える体制を有していること。
  5. 総務省からの補助金交付等停止措置又は指名停止措置が講じられている者ではないこと。 

補助範囲

我が国の魅力を発信するコンテンツを制作し、海外において放送等により情報発信するとともに、連動事業を行う費用

参考:放送コンテンツによる地域情報発信力強化事業に係る補助事業者(執行団体)公募要領
参考:放送コンテンツによる地域情報発信力強化事業 公募要領

令和5年度文化財多言語解説整備事業

令和5年度文化財多言語解説整備事業は、訪日外国人旅行者数の増加と、訪日外国人観光客の観光体験を向上させるため、多言語解説を整備する事業です。

対象者

日本国内の事業者

補助額・補助率

  • 補助率:対象経費の1/3(33%)が上限
  • 補助額:対象経費の98%又は原則3,000万円のいずれか低い方を上限とします。

申請要件

 ただし、任意団体等が事業者となる場合には、補助対象事業を実施するために必要な運営上の基盤を有する、次の4つの要件を満たすことを条件とします。  

  1. 定款に類する規約を有すること。
  2. 団体の意志を決定し、執行する組織が確立していること。 
  3. 自ら経理し、監査する会計組織を有すること。  
  4. 活動の本拠となる事務所等を有すること。

補助範囲

本事業の補助対象は、国指定・選定・登録文化財及び日本遺産の構成文化財(以下「国指定等文化財」という。)を対象として、デジタル技術等(QRコード、アプリ、AR・VR技術等)を利用した多言語解説にかかるコンテンツ制作事業とします。 

事業者向け補助金の申請におけるポイント

補助金を申請する際に注意すべきポイントがあります。まず、補助金は当面の事業の見通しをカバーするものではありません。そのため、補助金を受ける際には、自己資金や他の資金調達方法も検討することが重要です。

また、補助金の申請には審査があることも覚えておくべきポイントです。申請書類がされた後、関連機関による審査が行われ、補助金が認められるかどうかが判定されます。審査においては、申請書類の正確性や計画の実現可能性が評価されるため、申請書類の慎重な準備と計画の具体性が成功につながるキーとなります。

補助金の申請において、当面のカバーを期待せず、計画的な資金調達と審査への備えを忘れずに実行しましょう。 

まとめ

この記事では、インバウンド補助金について解説しました。これからますます国際化が進む中で、事業拡大に補助金は大いに役に立ちます。各補助金について把握し、自身の事業に生かしましょう。

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