この記事では、Shopeeを活用した台湾向けの商品販売の方法を紹介します。これから台湾へ向けて事業展開や販路を拡大したいとお考えの方は参考にしてください。
台湾のEC市場の概況と台湾Shopeeの概況
まず、台湾の主なECサイトや消費者の購買傾向、特徴について紹介します。
台湾の主なECサイトとShopeeの立ち位置
台湾では、Eコマースは普及しており、台湾経済部の発表によると、2021年の台湾のEC市場規模は4,303億台湾ドル(約1.97兆円*1)に達しました。台湾における主なECサイトは、Shopee、momo、PChome 24h購物などがあり、中でもShopeeは台湾において利用率が最も高いECサイトとなっています。
台湾の調査・コンサルティング会社MIC(産業情報研究所)の調査(2021年実施)によると、消費者が最もよく使うECサイトは多い順からShopee(61%)、momo(59%)、PChome 24h購物(43%)、Yahooショッピング(23%)、東森購物(12%)となっており、Shopeeの根強い人気が伺えます。
*1 2023年12月24日の為替レート1台湾ドル=4.58日本円に基づく
台湾Shopeeの概要と特徴
Shopeeは東南アジア・台湾で最大規模のECサイトであり、マレーシア、タイ、台湾、ベトナム、フィリピン、ブラジル、メキシコを含む計11の地域で展開されています。
台湾では蝦皮購物という名称で展開しており、国内外知名ブランドの商品を扱う「蝦皮商城(Shopeeモール)」、日用品を扱う「蝦皮超市(Shopeeスーパーマーケット)」等を同時展開しています。毎月の18日、25日に加え、毎月一定の日程(例:2月2日、3月3日等)にキャンペーンセールを行い、消費者を囲い込んでいます。
参考:About Shopee
蝦皮購物
網購市場順勢躍升新高,成長率優於整體零售業
【零售電商消費者調查系列一】6成網友愛用蝦皮24h、momo 行動App購物冠軍為蝦皮 10大網購數位科技 消費者最重視電子支付、跨平台比價
台湾の消費者の購買傾向と特徴
MIC(産業情報研究所)の調査(2021年実施)によると、台湾の8割の消費者が、よく利用するECサイトは3つ以内としており、特定のECサイトに対する消費者の粘着度が高いことが伺えます。
また、女性のECサイト利用率がShopee(65%)、momo(60%)であるのに対し、男性のECサイト利用率はmomo(58%)、Shopee(57%)、PChome 24h購物(51%)となっており、Shopeeは女性における利用率がより高いことが見て取れます。
なお、海外ECサイトの利用状況を見ると、Taobao/天猫(19%)、日本楽天(8.4%)、米国Amazon(6.6%)、日本Amazon(5.9%)、米国iHerb(4.9%)となっており、Taobao/天猫がメインとなっています。台湾国内のECサイトに比べて利用率は著しく劣るものの、海外のECサイトも一定利用されているといえます。
台湾Shopeeにおける日本越境商品のトレンド
台湾・東南アジアShopeeの、2023年第一四半期における日本越境商品の人気カテゴリーは、上から順に美容品・化粧品、ヘルスケア、食品・飲料となっています。
参考:Shopeeが東南アジアと台湾における第一四半期の日本越境商品のショッピングトレンドを発表
Shopeeのメリット・デメリット
Shopeeが台湾で人気であることは上述しました。では、Shopeeを活用して台湾へ進出することのメリットとデメリットは何でしょうか?以下に紹介します。
メリット | デメリット |
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Shopeeのメリット
1.台湾での市場が大きい
台湾は日本製品との親和性も高く、日本の販売事業者にとって魅力的な市場です。
Shopeeは台湾の消費者が最もよく利用するECサイトであるため、Shopeeを活用した台湾進出は日本セラーにとって効果的といえます。
2.手数料が低い
販売手数料は売上の5%、決済手数料は売上の2%で、合計7%の手数料です。出品手数料や月額使用料などの固定費は一切かからないため、コストをかけずに参入可能です。
3.集客面でのサポートがある
フラッシュセールやライブコマースなど、販売事業者が参加できるキャンペーンが複数あります。フラッシュセールでは、ディスカウント等が開催され、ライブコマースでは、インフルエンサー等が商品をリアルタイムで紹介し、消費者が気に入った商品をその場で購入できます。集客面のサポートがあるため、消費者との接点が作りやすくなっています。
4.データ分析が容易
Shopeeではオススメキーワードや売れている商品を管理画面で調査することが可能です。そのため、自社や自社が置かれている環境の分析がしやすく、自社商品をどのように販売するか、検討しやすくなっています。
Shopeeのデメリット
1.商品単価が低い
Shopeeは、マーケットプレイスとして商品単価が低い傾向にあり、価格帯が高い商品は売れにくい傾向があります。日本の販売事業者の商品は送料もかかり、現地の販売事業者の商品と比較した際に価格面で不利になる可能性があります。
2.早期の売上確保が難しい
台湾では、商品レビューを見て購入を決定する消費者が多いです。しかし、店舗開設直後は販売実績がないため、商品が売れるまで、一定期間にわたり対策を打つ必要性があります。
3.外国語でのカスタマー対応が必要
外国語でのカスタマー対応が必要になります。出品情報の翻訳サービスはShopee側で提供していますが、カスタマーとの対応は販売事業者に任されているため、どのように対応するか、検討が必要になります。
参考:About Shopee
東南アジア・台湾で最大級のECマーケットプレイスShopeeとは?
Shopeeを活用した台湾でのEC展開のステップ
1.アカウント申請
アカウント申請フォームに必要事項を入力し、Shopee側へ提出します。法人の場合は、法人番号の入力が必要になります。
フォーム提出後は、Shopee側で審査がされ、数日後に店舗アカウント(本登録)の案内メールが送付されます。
2.店舗アカウント開設
店舗アカウント(本登録)の案内メールが届いたら、メール内の記載に沿って手続きを進めます。
3.ショップの基本設定
販売事業者専用の管理画面から、基本情報を入力したり、消費者から見える店舗のプロフィールを設定します。
4.出品
商品を5点以上登録すれば、出店完了です。商品の登録は、1)1件1件登録、2)一括アップロード、3)外部システムとAPI連携の3つの方法があります。
参考:Start Shopee:幅広いジャンルを東南アジア・台湾で販売
Shopeeを活用した台湾でのEC展開における成功ポイント
売れる商品を選ぶ
台湾Shopeeは20~30代を中心に、幅広い年代が使用しており、若年層向けの商品が売れやすくなっています。また、商品カテゴリとしては、美容品・化粧品、ヘルスケア商品、食品・飲料、家電商品などが売れやすくなっています。
そのため、売れやすい年代と商品カテゴリにおいて、競合他社に比べて独自性・優位性のある商品を選ぶと良いでしょう。
消費者の信頼獲得を重視する
台湾Shopeeでは、商品レビューを見て購入する消費者が多くいます。そのため、商品説明を実態に沿ってわかりやすく記載する、カスタマー対応を丁寧に行う等、商品レビューが良くなるよう工夫をしましょう。
また、台湾Shopeeでは、個人の出品者も多く存在します。そのため、第三者による転売商品や偽物商品がないか、他者出品の自社商品のレビューはどうか確認し、適時対応することで、消費者の信頼獲得に役立てると良いでしょう。
参考:【台湾ECモール解説】台湾No,1ECモール「Shopee(蝦皮)」の基本データと売り方のコツ
まとめ
この記事では、台湾におけるEC市場の概況やShopeeの立ち位置、Shopeeを活用した台湾でのEC展開方法等を紹介しました。Shopeeや台湾消費者の特徴を踏まえ、自社の事業展開を進めていきましょう。