AmazonシンガポールのEC市場調査とシンガポール展開・販売方法を解説

この記事では、Amazonを活用したシンガポール向けの商品販売方法を紹介します。これからシンガポールへ向けて事業展開や販路を拡大したいとお考えの方は参考にしてください。

シンガポールのAmazonを活用したEC展開の有望性

シンガポールのEC市場規模

過去20年間で成長を遂げた業界のひとつとして、シンガポールの電子商取引（EC）市場が挙げられます。特に、新型コロナウイルスの影響で厳しいロックダウン政策が実施された時期には、インターネットを活用した商品の購入が急速に増加し、EC市場は著しく拡大しました。
2022年時点で、シンガポールのEC市場の売上高は約72億米ドルであり、2025年には約114億米ドル以上に達すると予測されています（2022年4月24日の為替レートを基にした金額で、日本円で約1兆1400億円相当）。
さらに、シンガポールは東南アジアでのEC市場でハブのような役割を果たしております。そのため、今後も越境EC市場動向に対する注目が続くと予想されます。

表：シンガポールにおけるECの商品カテゴリーランキング　2022年2月（月次）

ランキング	カテゴリ	市場規模	前年比
１位	電子機器	168億米ドル	＋34％（4億2700万米ドル）
２位	服	163億米ドル	＋47％（5億1900万米ドル）
３位	家具	89億2700万米ドル	＋33％（2億2000万米ドル）
４位	美容・パーソナルケア用品	63億7100万米ドル	＋23％（1億1900万米ドル）
５位	おもちゃ・DIY用品	45億8600万米ドル	＋42％（1億3600万米ドル）
６位	飲料	38億2700万米ドル	＋44％（1億1800万米ドル）
７位	食品	33億3800万米ドル	＋62％（2億2800万米ドル）
８位	USBメモリー・DVD・ブルーレイディスク	14億7900米ドル	＋19％（2300万米ドル）

1位に電子機器、3位に家具といった、自宅までの配送が必要な商品が人気を集めています。この傾向は、コロナ禍における巣ごもり需要の影響がある可能性があります。特に、自宅での時間が増えたことから、電子機器や家具の需要が高まったと考えられます。
2位にはファッション、4位には美容・スキンケア用品がランクインしており、これにより女性のユーザーが多い傾向が予想されます。ファッションや美容関連のアイテムは、個人のスタイルや外見に気を使う機会が続いたことが影響している可能性があります。
すべてのカテゴリが前年を上回る市場規模を示しており、「食品」は前年比+62％、「服」は前年比+47％、「おもちゃ・DIY用品」は前年比+42％と急激な成長が見られています。これは、消費者の行動変化やオンラインでの買い物傾向が強まった結果として解釈できます。

Amazonのシンガポールでの市場規模

世界中の最新ニュースを発信しているSUNRYSEのシンガポールのトップ4ECプラットフォーム、

Amazon
Qoo10
Shopee
Lazada

4つのサイト全てで入手可能な製品73点の価格の比較調査では、Amazonで取り扱っている全製品において価格帯が平均4.55%安価であるとの調査結果を発表しています。

シンガポールにおけるECサイトアクセス数ランキング

2021年第2四半期（月次）　アクセス数単位：百万回

ランキング	ECサイト名	アクセス数
１位	Shopee	10.9
２位	Lazada	8.6
３位	Qoo10	7.4
４位	Amazon.sg	3.7

出典：Statistics on E-Commerce Landscape in Singapore (Updated 2021)

シンガポールで最も人気のあるECサイトはShopeeとLazadaにも関わらずAmazonの方が商品を安価で提供しているのが現状です。
また、Amazonは2020年3月以降、トラフィックが61.02％増加しており、積極的に順位を上げています。価格だけでなく、プライム会員（即日配送やAmazonプライムビデオ）においても優れた消費者体験を提供していることが利用者の増加要因の一つと考えられます。
Amazonはシンガポールを足がかりに、より広い東南アジア（SEA）地域への進出を目指しており、優れた価格と配送を提供しながら、順調に成長していると言えます。

参考：外資が力を強めるシンガポールEC市場の現状 | SUNRYSE MAG

日本製品のシンガポールでの評価

近年の外部環境の変化、新型コロナの拡大やロシアのウクライナ侵攻以降のエネルギー不足、この変化が消費者の購入行動にどのような影響があるのか、日本貿易振興機構（ジェトロ）は消費者5人を集め、ASEAN3カ国消費者座談会を行いました。
シンガポールの参加者は、日本製品に対し、高品質で耐久性があるという印象を持っていました。その背景には、日本メーカーの製品への品質管理が徹底されていることが挙げられ、生産地が日本以外であっても信頼性があると感じているようでした。
例えば、MUJI（無印良品）の製品に関してシンガポールの参加者は「環境に配慮したブランドであるからではなく、単に製品の品質やデザインが良いこと」を評価をしており、製品の品質とデザインに焦点を当てていることがわかります。これらのコメントから、日本製品がシンガポールで高く評価される要因には、品質管理の徹底や製品の耐久性、デザインの優れた点が挙げられていることがわかります。

参考：ASEAN3カ国の消費者座談会（後編）日本製品は「サステナブル」？ | 現地消費者のサステナブル消費の実情 – 特集 – 地域・分析レポート – 海外ビジネス情報 – ジェトロ

Amazonを活用したシンガポールでのEC展開のステップ

Amazonを活用したシンガポールでのEC展開のステップについて説明します。
大きく4ステップに分かれます。

1．販売する地域と商品を決める

Amazonを活用した商品の販売を行う場合は、各国、各地域には独自の規制が存在していますので注意が必要です。

Amazonグローバルセリング：公式参考動画

2．商品を登録して出品する

Amazonのツールを使用して、自国や海外の販売アカウントを管理し、マーケットプレイス全体の商品情報を統括しましょう。必要に応じて、商品情報を適切に翻訳することも可能です。

Amazonグローバルセリング：公式参考動画

3．発送する

各国での発送に関する理解を深め、費用や時間、要件などについて考慮してください。また、Amazonの「フルフィルメント by Amazon（FBA）」を利用することで、国際的な解決策を検討してみてください。もちろん、出品者自身で直接対応することも可能です。

Amazonグローバルセリング：公式参考動画

4．ビジネスを管理する

出品者は、カスタマーサポートの提供や現地での返品について、ご自身で対応することもありますし、同時にAmazonがこれらを代行することも可能です。売上金の支払いについても、出品者はご希望の通貨で受け取ることができます。Amazonの様々なツールや推奨情報を有効活用し、海外での販売を拡大し、ビジネスを国際的に成長させましょう。

Amazonグローバルセリング：公式参考動画
引用：Amazonグローバルセリングを利用して海外で販売する方法

Amazonを活用したシンガポールでのEC展開における成功ポイント

Amazonを活用したシンガポールでのEC展開においての成功ポイントをいくつか紹介します。

売れる商品を選ぶ

貿易ニュース、貿易求人等の情報を掲載する専門サイトであるHUNADEのシンガポールで検索されているキーワードの調査によると、特徴として一定の所得があり、「より充実した生活を送れる」商品に需要を感じたようです。
例えば、「美容・健康品関連商品」では「馬油」や「大島椿」などマイナーな商品が含まれ、一般的な商品では満足できない物を求めているようです。「ベビー用品」では他の東南アジアの国々と比べて調べる人が多く、「離乳食」が人気を集めています。
また、「食品関係」では「白い恋人」や「東京ばな奈」などの地域のお菓子や「十五穀米」などの健康的な食品にも興味を示しています。
シンガポールは、東南アジアにおいて最も発展している近代国家の国で、最近は訪日客が大幅に増加しています。
日本で販売されている商品やサービスを目にしたことをきっかけに、帰国後、リピーターになってくれる可能性があり、シンガポールの人々が手軽に日本商品を楽しむことができる供給網が必要になってきます。

オムニチャネル戦略を策定・実行する

オムニチャネル戦略とは、オンラインのチャネルとオフラインのチャネルを統合し、顧客に一貫したショッピング体験を提供する戦略で、シンガポールEC市場において、オムニチャネル戦略がますます重要になっています。
オムニチャネル戦略成功に向けて、以下の要素を考慮することが重要です。

顧客データの一元管理
在庫管理の最適化
チャネル間の価格統一
無縫機的なカスタマーサポート

サステナビリティへの取組みを行う

サステナビリティ(SDGsやESG)への取り組みが重要なポイントとなり、環境や社会に配慮した商品やサービスを提供することで、顧客からの評価を高め、競争力を強化することができます。
サステナビリティへの取り組みを強化するためには、以下のアプローチが効果的です。

エコフレンドリーな素材の使用
エネルギー効率の向上
コミュニティへの貢献

地域特性を踏まえ他社との差別化を図る

シンガポールのEC市場において、地域特性を理解し、競合他社と差別化を図ることは、成功への重要な要素です。このために、以下のポイントに留意することが役立ちます。

地域の文化や価値観の理解
ニッチ市場の開拓
クオリティの向上
オンラインとオフラインでの連携
サステナビリティへ(SDGsやESG)の取り組み

引用：2023年4月版シンガポールのEC市場の現状 : デジタルマーケティングの進化

Amazonを活用したシンガポールでのEC展開における留意点

個人情報移転に関する制約がある

データ制約に関する規制の有無

個人情報保護法について、シンガポールの同法と同程度以上の保護水準を受けるようにしなければ、個人情報を国外に移転させてはならないことを規定（第26条第1項）。

輸入禁止品目ならびに管理品目が定められている

販売上位品目について、以下の点に留意する必要がある。
(1) サプリメントに関しては、管理品目は該当なし（品目によるため保健科学庁に確認が必要）。
(2) 医薬品は管理品目であり、所管は保健科学庁。
(3) 美容関連製品（化粧品やシャンプー）も管理品目であり、同庁が所管している。
(4) 玩具には一部管理品目があり、例えば、玩具のトランシーバーは情報通信庁が、玩具のピストルなどは内務省が所管している。
ただし、管理品目に関しては、当局からの輸入ライセンスが必要であり、具体的な対象品目についてはシンガポール税関で確認が必要です。なお、サプリメントについては保健科学庁にて確認が必要です。

参考：シンガポールの越境EC | 主要国・地域の越境EC（電子商取引） – 特集 – 地域・分析レポート – 海外ビジネス情報 – ジェトロ

まとめ

本記事では、シンガポールのAmazonを活用したEC展開のステップや成功ポイント、留意点を紹介しました。
美容健康や高品質で耐久性に優れている製品が高く評価されている日本の製品を急激に成長をしているシンガポールECにおいて地域特性を理解し、競合他社と差別化を図ること、これにより、日本企業は市場での競争力を高めることが重要です。
不明点がある場合、お気軽に「お問い合わせフォーム」からお問い合わせください。