シンガポールEC市場の特徴とEC展開方法を解説

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Shopeeを活用して、シンガポールでも自社サービスの販売を行い、国内市場以外の進出を検討しているけれど、個人で行うことが難しいと考えている方も多いでしょう。この記事では、Shopeeを活用したシンガポール向けの物販のやり方を紹介します。これからシンガポールへ向けて事業展開や販路を拡大したいとお考えの方は参考にしてください。

シンガポールのEC市場の概況

シンガポールは、東南アジア屈指の消費力と高いGDPを誇り、過去20年間で成長した業界の一つとしてシンガポールのEC市場が挙げられます。また、クレジットカードの普及、利用率も高い国と言えるでしょう。

シンガポールのEC市場の特徴

シンガポールのインターネット普及率は2022年1月時点で92.0%と非常に高く、EC市場での売上も2022年度には72億米ドルと、ECによる流通が他国の東南アジア諸国に比べて特に多いといえます。
また、シンガポールでは、コロナ禍に自家用車の台数制限があったことで、ネットショッピングのニーズが高まり、越境EC企業の参入への追い風となりました。
このことから、今後もEC市場が伸びていくことが予想されます。

参考:シンガポールの特徴と人気の商品カテゴリ | Shopee JP Seller Education Hub
参考:シンガポールEC(通販)の基礎知識 | 人気ECサイトランキング・市場規模・EC決済事情…ほか | 海外進出ノウハウ | Digima〜出島〜

シンガポールの主なECサイト

シンガポールで主に利用されているECサイトを紹介します。

1.Lazada

「Lazada」というモール型のECサイトは、東南アジアの電子商取引市場で最も知られているサイトで、本社はシンガポールにあります。このサイトは、もともと2012年にドイツのRocket Internet社によって設立されましたが、2016年には中国のアリババが約1000億円で買収し、そのニュースが注目を集めました。

「Lazada」は、シンガポールだけでなく、東南アジアの主要な国々、例えばインドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムでもサービスを提供しています。

「Lazada」は、東南アジア版のAmazonと評されることがあり、自前の倉庫を活用して広範囲の商品を揃えるという特徴を持っています。2013年にオンライン上での見積もりから決済までのシステムを導入するなど、ビジネスモデルはAmazonに非常に近いものとなっています。Amazonがシンガポールへ進出したのは2017年と遅く、まだ市場を完全に制覇していない状況から、サービス開始以来、「Lazada」は順調に成長を続け、東南アジアにおける最大級のECサイトに成長しました。

2.Qoo10

「Qoo10」は、韓国のGMarket社が米国のebay社と共同で設立されました。サービスの開始は2008年で、「Lazada」よりも先に東南アジア市場に進出した老舗のECサイトです。最初は「G-Market」という名前でしたが、2012年に現在の「Qoo10」に名称変更しました。

楽天市場に似たECモールのビジネスモデルを採用しており、大手EC企業である楽天がシンガポール市場への参入に失敗した一因として、「Qoo10」が既にECモールとして市場に定着していたことが挙げられます。

「Qoo10」は、日本でも韓国の化粧品などで人気がありますが、シンガポール市場でも女性向けの商品やファッション関連の商品で高い人気を誇るECサイトです。

3.Shopee

2015年にシンガポール拠点が設立されたECサイト「Shoppee」は、最初は消費者同士が取引するCtoC型のビジネスモデルで始まりました。しかし、現在はCtoCに加えてBtoCも利用できるハイブリッド型のECサイトに成長しました。同様に、別展開されているECサイト「Lazada」も東南アジア各国で展開しています。

4.RedMart

「RedMart」というECサイトは、食料や日用品特化のシンガポール発のサイトです。創業が2011年、その後2016年には「Lazada」に買収されました。

このサイトの特徴は、野菜や肉などの生鮮食品から、日本の調味料、洗剤・調理器具などの生活用品まで、幅広い品揃えを備えていることです。さらに、他のサイトに比べて商品の価格が安価である点も消費者にとっては魅力の一つでしょう。
また、RedMartは独自の流通網を持っており、基本的には発注の翌日までに商品を届けてくれるだけでなく、2時間ごとの時間指定も可能です。特に高温多湿のシンガポールでは、スーパーでの買い物が面倒なユーザーが多いことから、利用者数が急速に増加しています。

5.Carousell

「Carousell」とは、「CtoC型のシンガポール版メルカリ」とも言われる2012年からスタートしたECサイトです。シンガポールの大学生によって設立されたスタートアップ企業が運営しており、多くのベンチャーキャピタルからのサポートも受けています。
展開地域はシンガポール以外にもマレーシア、フィリピン、インドネシア、台湾、香港、オーストラリアなどがあります。

メルカリとの違いは、「出品手数料が無料」である点が挙げられます。また、東南アジアの習慣である「値下げ交渉」がCarousellでも行うことができるのも大きな特徴の一つです。なお、Carousellではアプリ内でのオンライン決済は行えず、銀行振込みや手渡しによる物品取引の際に現金支払いをするシステムが採用されています。

参考:シンガポールEC(通販)の基礎知識 | 人気ECサイトランキング・市場規模・EC決済事情…ほか | 海外進出ノウハウ | Digima〜出島〜

シンガポールShopeeでの売れ筋商品

シンガポールShopeeでの売れ筋商品を見ていきましょう。

カテゴリ サブカテゴリ
1 化粧品 ヘアケア・ スキンケア
2 健康食品 体重管理・ビューティーサプリメント・コラーゲン
3 日本食品 インスタントラーメン・お菓子
4 おもちゃ+子供用品 育児用品・オーラルケア
5 ゲーム ビデオゲーム

参考:シンガポールの特徴と人気の商品カテゴリ | Shopee JP Seller Education Hub

Shopeeのメリット・デメリット

Shopeeのメリット・デメリットを紹介します。出品する際、自社にとって嬉しいメリットと、課題になるデメリットが何か、明確にするためにぜひ参考にしてみてください。

メリット デメリット
  • 複数ヶ国へ出店できる
  • 初期費用・維持費用が無料
  • 日本語でのサポートがある
  • 日本からの発送が可能
  • 商品単価が低い
  • 早期の売上確保が難しい
  • 外国語でのカスタマー対応が必要

メリット

1.複数の国へ出店できる

Shopeeでは、日本から各国へ商品を販売できます。出品できる国は5つあります。

  • シンガポール
  • 台湾
  • タイ
  • マレーシア
  • フィリピン

これら5つの国で出品する際にも、日本語サポートがあるので安心して出品できます。しかし、購入者は現地に住むユーザーが多いと想定されるため、カスタマーサポートの面では言語に関する対応についても十分に検討しておきましょう。
※新規出店時にタイは選択できません。

2.初期費用・維持費用が無料

出店における初期費用が無料です。
維持費用となる販売手数料、登録後3ヶ月は無料で利用できます。それ以降は1〜2%ほどの販売手数料がかかりますが、初期投資コストが小さく済む点はメリットでしょう。

3.日本語でのサポートがある

Shopee Japanのスタッフが日本語で販売者へのサポートを行っています。
困ったときは、新規、既存販売者のよくある質問に迅速に回答できるプラットフォームが用意されており、安心して取引をすることが可能です。

4.日本からの発送が可能

今まで越境ECを行ったことがない企業に関しても、受注から代金回収などの一連の配送サポートサービスも紹介可能なので安心して出店することができます。

デメリット

1.早期の売上確保が難しい

東南アジアはまだ発展途上の段階で、日本のEC市場と比べてすぐに売上を伸ばすのは難しい状況です。さらに、アカウント新規開設後には販売実績がまだないため、販売実績を積み上げたり、レビューを集めたりするための効率的な取り組みが求められます。

2.外国語でのカスタマー対応が必要

お客様とのコミュニケーションは基本的に外国語で行われます。
Shopeeでは商品情報の部分はインドネシアや台湾向けに翻訳してくれますが、日々のやり取りは基本的にユーザー自身が外国語で対応することが求められます。
さらに、東南アジアの消費者は購入前にチャットで問い合わせを行うことが多く、迅速かつ親切な対応が不可欠です。

参考:Shopee Japan
参考:【2024年スタート版】shopee(ショッピー)輸出まとめ「shopeeとは?始め方・出品方法・発送方法・注意点など徹底解説!」
参考:東南アジア・台湾で最大級のECマーケットプレイスShopeeとは?

Shopeeを活用したシンガポールでのEC展開のステップ

1.店舗アカウント作成

まずは店舗アカウントの作成を行いましょう。
手順コチラ

2.店舗アカウントの初期設定

店舗アカウント作成後に初期設定を完了させます。
※出品前に物流設定の完了させてないと注文を受け付けることができず自身の商品の販売機会損失に繋がってしまいます

店舗アカウントの初期設定についてはコチラ
店舗ページの初期設定はコチラ

3.出品

1.2のステップ完了後に出品ができるようになり、Shopeeの最低出品品数である5商品以上の出品をして出店準備は完了です。
Shopeeでは5商品以上の出品をすると販売者教育プログラムに入ることができます。
売り上げ向上をサポートを受けることができますので有効活用しましょう。
商品の出品方法はコチラ

参考:【新規セラー向け】出店ガイド | Shopee JP Seller Education Hub

Shopeeを活用したシンガポールでのEC展開における留意点

販売規制商品が存在する

シンガポールでは販売規制商品が存在します。
ジャンル別に一部をご紹介します。

オンライン販売禁止商品 輸入禁制品 現地ライセンスが必要
  • タバコ、電子タバコ
    電子タバコ用アクセサリー含む
  • コンタクトレンズ
  • 医薬品
  • チューインガム
  • アルコール飲料
  • アルコール
  • 電子スクーター
  • 電子自転車
  • ペットフード

オンライン販売がそもそも禁止されていたり、現地のライセンスがあれば販売できるものなどがあります。
上記はごく一部ですので販売する際には販売規制商品に注意して出品することがおすすめです。

参考:シンガポールの特徴と人気の商品カテゴリ | Shopee JP Seller Education Hub

Shopeeを活用したシンガポールでのEC展開における成功ポイント

1.コスパに加え、デザイン性で勝負する

日本のあるランジェリーメーカーでは、「可愛いけど低価格、普段使いができる」という商品が中心となり、低価格であるだけでなく、機能性も兼ね備えているところがShopeeの女性ユーザー層に好評を博しているようです。

越境ECプラットフォームとしてのShopeeは、他のサイトと比べて関連商品の一緒に購入や複数商品の購入が多いと言われています。複数の商品を一度に購入すれば送料も節約できるため、出店者側にとっても大きなメリットがあり、これがShopeeを使い続ける理由となっています。

2.スピード感をもって対応する

国内販売と越境ECの最大の違いは、そのスピード感です。越境ECでは、国内販売と比較して、人気商品の寿命が短いことも珍しくありません。

越境ECに多数の販売チャネルで取り組んできたSHIROHATOも、「商品がよく売れる時期には一時的に売上が急増するが、その人気が落ちるのも早い」と感じています。

大量に購入される可能性がある一方で、消費者の嗜好が非常に早く変わる越境ECにおいては、迅速な対応が重要となります。大型セールなどの重要なタイミングで商品を準備する、売れ筋商品はすぐに補充する、お客様からの問い合わせには即座に対応するなどの対応が求められます。

3.広告で認知度を上げる

現在では売上が大きく伸びているSHIROHATOですが、東南アジアへの越境ECを開始したばかりの頃は、現地の女性たちにまだ知られておらず、認知度の低さという、多くの日本企業が直面する課題を解決したのが、Shopee Adsのディスカバリー広告です。越境ECショップの立ち上げ初期から広告を活用した結果、わずか3ヶ月という短期間で大きな成長を遂げています。
さらに、大型セールを組み合わせたことで、注文数が20倍にも増えています。

東南アジアでは大規模なセールが頻繁に行われ、通常時に比べて注文数が10倍〜20倍になることもあります。これまで購入したことのない新規のお客様も、セールの時期であれば購入しやすく、新規顧客の獲得チャンスともなります。

参考:越境ECでオーダー数 20倍も。女性向け商品の海外展開と今後の可能性 – Shopee Japan ショッピージャパン

まとめ

この記事では、シンガポールにおけるEC市場の概況やShopeeの立ち位置、Shopeeを活用したシンガポールでのEC展開方法等を紹介しました。Shopeeやシンガポールの消費者の特徴、販売禁止品などに注意しながら、自社の事業展開を進めていきましょう。

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