東南アジアで人気のモールLazadaを活用したフィリピンへのEC展開方法を解説

越境EC
この記事は約10分で読めます。

この記事では、Lazadaを活用したフィリピン向けの物販の方法を紹介します。これからフィリピンへ向けて事業展開や販路を拡大したいとお考えの方は参考にしてください。

Lazadaとは

Lazadaとは、東南アジア最大のECプラットフォームです。2011年に設立され、現在ではAlibaba Group傘下に入っています。東南アジア6つの国(シンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、ベトナム、フィリピン)を中心に展開されております。フィリピン国内におけるECプラットフォームとしては最大手であり、フィリピン版Amazonというような位置付けといっても過言ではありません。

参考:公式|Lazadaについて

フィリピンの主なECサイト

主なECサイトとしてShopee、ラザダ(Lazada)、アマゾン(Amazon)、カルーセル(Carousell)、アリババ(Alibaba)が挙げられます。
その中でもフィリピン国内で検索上位のウェブサイトについて順に解説します。

1.Shopee

Shopeeは、東南アジア最大のECプラットフォームであり、フィリピンでも圧倒的なシェアを誇っています。2015年にシンガポールで設立され、現在では台湾、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム、中国にも展開されています。

2.ラザダ(Lazada)

前述したLazadaとはをご参照ください。

3.アマゾン(Amazon)

フィリピンにおいてアマゾンは、2017年11月に正式にサービスを開始しました。東南アジア市場への参入戦略の一環として、シンガポールに次いで2番目の拠点としてフィリピンが選ばれました。

4.カルーセル(Carousell)

カルーセルは、東南アジアを中心に展開するCtoC(個人間取引)プラットフォームです。2012年にシンガポールで設立され、現在ではフィリピンを含む7つの国でサービスを提供しています。

5.アリババ(Alibaba)

アリババは、中国におけるEC最大手グループで東南アジア市場への進出に力を入れており、フィリピンにも2019年にLazada Groupを買収して参入しました。現在、Lazadaを通じてフィリピン市場へ展開しています。

参考:「LAZADA」とは?フィリピン版アマゾン!人気のオンライン通販サイト
フィリンピンで最もいいネット販売の手段
フィリピンで最も多く訪問されたEコマース & ショッピング業界のウェブサイト

Lazadaのメリット・デメリット

Lazadaを利用してフィリピンユーザーに向けた販売をすると、1つのアカウントを作成するだけで東南アジア6か国(シンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、ベトナム、フィリピン)で販売することが可能です。
Lazadaで出店をする際のメリット、デメリットを解説します。

メリット

1.在庫管理操作が一括でできるため効率的

Lazadaグローバルアカウントを持つと、複数の国へ同時出品が可能なだけでなく、商品登録、価格設定、注文処理などを一括で実行することができます。また、販売レポートもまとめて確認できるため、出品に対する売り上げの分析などを効率化することができます。

2.低コストで複数国出店可能

一つのアカウントで複数国への展開を実現し、販売機会を大幅に拡大できることは、管理上のメリットだけでなく、コスト削減にも寄与しています。
具体的には、「個別国でのアカウント開設・維持費用が不要」や「言語翻訳サービスなどを利用可能」、「物流・決済など、Lazadaの各種インフラを活用」等などの環境が揃っているため、コストを低く抑えることが可能です。

3.集客力

Lazadaは、東南アジア6か国(シンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、ベトナム、フィリピン)全体で8,900万人を超える月間アクティブユーザー数に達しており、フィリピンだけでも3,000万人を超える圧倒的なユーザー数を誇ります。
多くの消費者へ商品の魅力を伝える機会があるため、自社ブランドを多くの消費者に認知してもらうことができ、集客にも役立ちます。

4.配送サポートがある

Lazadaは、販売者にとって複雑な配送オペレーションを包括的に支援する、高度な配送サポート体制を構築しています。具体的には、以下の機能を提供します。

  1. 倉庫への商品納品:
    販売者は、Lazada指定の倉庫に商品を納品するだけで、梱包、ピッキング、配送、配送ラベル作成などの煩雑な作業を全てLazada が代行します。
  2. マルチチャネル配送オプション:
    Lazada は、Standard Delivery、Express Delivery、Next Day Delivery など、顧客ニーズに合わせた多様な配送オプションを提供します。販売者は、商品特性や顧客ターゲットに合わせて最適な配送方法を選択できます。
  3. リアルタイム配送追跡システム:
    Lazadaは、販売者と顧客がリアルタイムで配送状況を詳細に追跡できる高度なシステムを導入しています。販売者は、荷物の発送状況を常に把握し、顧客からの問い合わせに迅速かつ的確に対応できます。
  4. 効率的な返品・交換処理:
    Lazadaは、顧客からの返品・交換処理も代行します。販売者は、返品・交換された商品を受け取り、検品、返金、交換処理を行うだけで、顧客との直接的なやり取りは必要ありません。
    カスタマー対応サポートがある点も心強いでしょう。24時間365日、オンラインかつ多言語対応体制を整えています。このことで、顧客満足度の向上が見込まれるでしょう。

これらの環境が利用できるため、出店者は人的リソースやオペレーションコストを削減することができます。

デメリット

1.商品単価が低い

Lazadaでは、家電やファッションなど、低単価商品が多数販売されています。これは、以下の要因によるものです。

  1. 東南アジア市場の特徴:
    東南アジア市場は、人口が多く、経済成長が著しい地域です。しかし、一人当たりのGDPは比較的低いため、低価格帯の商品が人気があります。
  2. Lazadaの顧客層:
    Lazadaの顧客層は、幅広い年齢層、所得層の人々で構成されています。低単価商品は、多くの顧客にとって魅力的な選択肢となります。
  3. Lazadaの販売戦略:
    Lazadaは、低価格帯の商品を積極的に販売することで、顧客獲得と市場シェア拡大を図っています。
    商品単価が低い場合、販売手数料や配送コストなどの経費を差し引いた利益率が低くなります。これは、販売者の収益性を大きく損なう可能性があります。

2.出品上限数がある

Lazadaでは、販売者の販売実績に基づいて、出品可能な商品数の上限が設定されています。新規出店者の場合、過去3ヶ月間に30商品以上の販売実績がない場合は、出品上限数は500商品となります。
これは、販売開始当初は商品数を絞り、販売実績を構築することに注力することを推奨しているためです。

3.複数国出店する場合オペレーションが複雑になる

各国の法令や税制、商慣習、規制などへの対応が必要となり、オペレーションが複雑化する可能性があります。

・コスト増加:
法令遵守や現地スタッフ雇用などのコストが発生します。

・時間と労力の増加:
各国の要件に合わせて商品ページや販売方法などを調整する必要があります。

・リスク増加:
法令違反やトラブルが発生するリスクが高くなります。

参考:東南アジアの人気ECモール「Lazada」へ出店するメリット
Lazada(ラザダ)の使い方・出店方法・出店時のメリット&デメリット

Lazadaを活用したフィリピンでの出店条件・方法・費用

出店費用

初期費用、ランニング費用ともに無料です。ただし、注文手数料等が発生しますので注意が必要です。

・注文手数料:
商品カテゴリーによって異なりますが、商品の販売価格の 1% から 4% の範囲です。

・付加価値税 (GST):
付加価値税は、製品が販売される国/地域によって異なります。 VAT 率は、マレーシアで 6%、シンガポールとタイで 7%、ベトナムとインドネシアで 10%、フィリピンで12%です。

・会計処理手数料(決済手数料):
売上総額の2%が発生します。

出店条件

・各国の会社法に基づいて設立された法人であること:
営業許可証、登記簿謄本などの法的な書類を提出できる状態が必要です。販売する商品カテゴリーによっては、追加で許可が必要となる場合があります。

・各国の輸出要件と現地の国内輸入要件を満たしていること:
安全基準、品質基準、ラベリング要件などを遵守しているか確認しましょう。違法な商品や知的財産権を侵害する商品は販売ができないので注意が必要です。

・Lazadaの支払い処理システムを利用するために、国内企業アリペイに登録する必要がある:
登録には、法的な書類や銀行口座情報などの提出が必要です。

・Lazada売上金の受け取りのために、Pカード(Payoneerカード、越境決済デジタルプラットフォームPai Anyingのカード)に法人形態で登録し、Lazadaバックエンド口座を紐付ける必要がある:
カードは、複数の通貨に対応しており、海外売上金の受け取りが容易になります。

・Lazadaは、EC販売経験のある販売者を優遇している:
過去の販売実績や顧客満足度などの情報が審査に影響を与えます。

出店方法

1.アカウント申請

  • Lazada公式サイトまたはセラーセンターから、販売者アカウントの申請を行う
  • 申請には、法的な書類、銀行口座情報、販売する商品の情報などを提出する必要がある
  • 申請後、Lazadaから審査結果が通知される

2.アカウント承認

  • 審査に合格すると、Lazadaから販売者アカウントが発行される
  • 販売者アカウントには、商品登録、注文管理、売上確認などの機能が利用できる

3.出店準備

  • 販売する商品の登録を行う
  • 商品画像は高画質で多角度から撮影し、商品説明は詳細かつ正確に記載する
  • 配送方法や支払い方法を設定する
  • 販売価格を設定する

4.出店

  • 商品登録が完了すると、販売開始できる
  • 販売開始後も、商品ページの更新、顧客対応、キャンペーンへの参加など、継続的な販売活動を行う必要がある

参考:公式|Lazada 出店までの流れ
公式|ラザダに出店するための条件と手数料
公式|lazadaの出店条件と費用は具体的にいくらですか

Lazadaを活用したフィリピンでのEC展開における留意点

1.2種類のマーケットプレイスが存在する

Lazadaの主な特徴は、ローカルとグローバルの2つのマーケットプレイスがあることです。ローカルマーケットプレイスは国内EC、一方、グローバルマーケットプレイスは越境ECとして分類され、それぞれ異なるアカウントが存在します。
ローカルアカウントは特定の国でのみ店舗を展開できますが、グローバルアカウントはLazadaが運営している全ての国での出店が可能です。

2.グローバルアカウントの作成は難易度が高い

先述の通り、Lazadaでは”ローカルアカウント”と”グローバルアカウント”という2つの販売用アカウントが提供されています。ローカルアカウントは特定の国での販売が可能なため、審査プロセスは比較的簡単です。

しかし、グローバルアカウントは6カ国全てで販売できるため、審査基準が高くなり承認されることが難しい状況です。そのため、複数国での販売を検討している場合、以下のような手法が予想されます。

・各国ごとにローカルアカウントを作成して販売する
・1つのローカルアカウントを作成し、成功を収めた後にグローバルアカウントを取得する

もちろん、最初からグローバルアカウントを取得することも可能ですが、自信がない場合は上記の方法で販売を開始することで、より確実な道を選ぶことができます。どちらの方法も手間がかかるため、注意が必要です。

3.販売禁止商品がある

Lazadaでは販売が禁止されている商品が存在します。また、販売には国ごとの制限や認可が必要な場合もありますので、事前に確認することが必要です。
以下は禁止または制限されている一部の商品です。

・中古品
・販売が認可されていない商品
・偽造品や模倣品
・宗教的感情を傷つける可能性のある商品

国によっても規制が異なるため、販売する国のガイドラインをきちんと確認することが重要です。 

4.出店時の登録対応は各国言語で行う必要がある

Lazadaでは現在、出店や登録時に日本語でのサポートが提供されていないため、販売国の言語または英語でのコミュニケーションが必要です。前述の通り、登録には必要書類の提出や必要情報の入力、ストア開設試験などがあり、これらの手続きもそれぞれの言語で対応する必要があります。

一般的に英語での対応は可能ですが、日本語での対応と比較するとハードルが高くなるため、注意が必要です。

参考:東南アジアの人気ECモール「Lazada」へ出店するメリット
ShopeeとLazadaを徹底比較、東南アジア市場に進出するなら?

まとめ

Lazada は東南アジア最大の ECプラットフォームで、フィリピンを含む6カ国で展開しています。グローバルアカウントで複数国への出店が可能で、集客力と配送・カスタマーサポートが充実しているのがメリットです。一方で、商品単価が低く、出品数に上限があり、複数国出店時のオペレーションが複雑化するというデメリットもあります。

出店には法人登記などの条件があり、手数料も発生します。また、販売禁止商品や各国の規制への対応が求められ、登録手続きは現地語または英語で行う必要があります。

タイトルとURLをコピーしました